好かれるのは会う回数だけじゃない。中高生が知るべき心理学の順番
会う回数を増やせば好かれる、は間違い。中学生・高校生が今日からできる正しい順番を心理学で解説。
好かれるのは会う回数だけじゃない。中高生が知るべき心理学の順番
好かれるかどうかは、性格ではなく「行動の順番」で決まる
好きな人に好かれたい。その気持ちは変じゃありません。
でも「性格が明るくないと無理」「もともと好かれる人がいる」と思っているなら、それは違います。
好感度がどう動くかは、心理学の研究で何十年も調べられてきました。
Zajonc(1968)の単純接触効果、Bornstein(1989)のメタ分析(200件超)、Montoyaら(2008)の類似性研究(313件・460の効果量)。
これらを実際に読むと、好感度は生まれつきの性格ではなく、会う回数と関わり方の順番で動くことが分かります。
ただし全部に条件がついています。
「会えば会うほど好かれる」わけではないし、「共通点を作れば好かれる」わけでもありません。
その条件を含めて、ここから順番に見ていきます。
同じ教室や部活にいるのに、なぜか進展しないと感じていませんか
毎日同じ教室にいる。同じ部活で、帰りの電車も同じ。
なのに、話す内容は増えない。グループLINEで会話は見えるのに、自分から個人に送る勇気は出ない。
「これだけ会ってるのに、なんで進まないんだろう」と思ったことはありませんか。
たぶん言っていないと思いますが、クラス替えや卒業が近づくたびに焦りだけが強くなって、でも何を変えればいいのか分からないまま今日も同じ席に座っている。それ、変な状態じゃありません。
会う回数が多いことと、関係が育っていることは、実は別の話です。ここを分けて考えるところから始めます。
好意は「会った回数」の積み重ねで少しずつ育っていく
好かれるために、特別な話術はいりません。まず効くのは会う回数です。
心理学者ザイアンス(Zajonc, 1968)が示したのが「単純接触効果」。会話がなくても、好意や魅力の評価は上がります。
同じ人を何度も目にするだけで、それは起きます。
これは一つの実験の話ではありません。ボーンスタイン(Bornstein, 1989)のメタ分析でも、同じ結果が確認されています。
調査データ
200件超
単純接触効果が再現された研究の数
教室や部活で毎日顔を合わせる相手に、なんとなく気を許しやすいのはこのためです。特別な会話がなくても、視界に入る回数そのものが好意の土台になります。
ただし、回数を増やせば増やすほど好かれ続けるわけではありません。そこには条件があります。次で見ていきます。
「増やせば増やすほど好かれる」も「共通点を作れば好かれる」も言い過ぎだった
会う回数を増やせば好かれる。よく聞く話です。
でも正確じゃありません。会う回数と好感度の関係は、まっすぐ右肩上がりではなく「逆U字」だとBornstein(1989)のメタ分析はいいます。上がるのは途中まで。
そこを超えると、今度は下がっていきます。飽きや、うっとうしさが理由です。同じ結論は別のメタ分析(81論文・268の曲線推定)でも出ています。
部活で毎日顔を合わせる相手に既読スルーで距離を詰めようとしても、それはもう「増やす」段階を過ぎているかもしれません。
調査データ
r = .39
「似ている」と思われることと対人魅力の関係。実際に似ていること(r = .47)とほぼ変わらない強さがある
「共通点を作れば好かれる」もズレています。この研究では、実際にどれだけ趣味や価値観が似ているかより、相手が「似てる」と気づいたかどうかの方が効いています。
しかも自己開示を伴う場面では、実際の類似性は魅力と無関係だったともMontoya & Insko(2008)は指摘します。
なぜ「気づく」ことが効くのか。そこには好意の返報性があります。相手が自分に好意を持っていると感じると、こちらも好意を返しやすくなる。似ていると気づくことは、その入り口になっています。
デール・カーネギーは1936年の『人を動かす』で「相手に興味を持ってもらうには、まず自分が相手に最大限の興味を持て」と書きました。近い話ではありますが、これは自己啓発書の主張です。研究として並べていいものではありません。
グループLINEで共通点を無理に探すより、もう知っている共通点に「それ好きなの、自分も」と気づいたと伝える方が近道です。
今日からできる、会う回数と自己開示の使い方
今日からできることは2つです。
まず会う回数について。 増やすことより「自然に会える機会を、無理に断ち切らない」ほうが大事です。 同じ部活・同じ登校時間があるなら、それだけですでに十分な接触になっています。
次に自己開示の順番について。 Aron et al.(1997)の実験では、軽い話題から少しずつ個人的な内容へ質問を進める方法が使われました。
試すならこの順番です。
・最初は部活の話や最近見た動画など、軽い話題 ・次に「好きな〇〇」「休みの日にすること」くらいの話題 ・悩みや将来の話は、ここまで進んでから
正直に書きます。 この実験、雑談条件より親密さが上がったのは1回目だけでした。 2回目・3回目は十分な人数でも有意差が出ていません。
だから「これをやれば必ず仲良くなる」とは言えません。 ただ、深い話からいきなり入るより、軽い話題から順に深めるほうが自然です。 グループLINEの雑談を、軽い話題から少しずつ個人的な話題に動かしてみる。 順番を変えるだけなら、今日から試せます。
好かれるかどうかより、関わり方を変えられるかが分かれ目
ここまで見てきた研究には、全部に「ただし」がついていました。
会う回数は逆U字で頭打ちになる。自己開示は36の質問でも2回失敗している。
完璧な方法は無かった、というのが正直な結論です。
でも、それは行動しない理由になりません。
回数を増やす方向に動けるか、雑談を少しだけ深い話に変えられるか。
動かせる変数はちゃんとあります。
好かれるかどうかは、性格の話じゃない。
条件を知っているかどうかの話です。
今日、何を変えるか。それだけ決めればいい。
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